貸店舗物件の種類・特徴を知ろう

間取図と住宅模型による貸店舗物件のイメージ
繁盛店をつくるためには、店舗選びが重要です。まず店舗探しを始める前に、店舗の種類。立地や形態による違い、それぞれのメリットとデメリットを知ることで、提供商品や顧客層、開業予算などと照らして事業内容に合った店舗選びを進めることができます。

「駅前店舗」と「郊外店舗」の違い

自然に人が集まる駅前にある店舗と、人通りが少なく車の往来が多い国道沿いなど、駅から離れた郊外にある店舗の違いについてです。まず、立地の善し悪しが大きく関係しますので、賃料相場が異なります。「駅前店舗」は交通の便が良く、多くの来店客が見込めるため、賃料は高めです。商業地域や近隣商業地域であることが多いため、商業施設が多いエリアとなります。その分、業種によっては競合する店舗がある可能性が出てきます。ビル内のテナント物件が多いため、広さや大きさを求めるのは難しいです。

 

ターゲットとなる顧客は、基本的に駅の利用者と近隣の居住者なので、徒歩による単独客もしくは社会人・学生のグループなどが多いと想定されます。徒歩なので、酒類を提供する店に向いています。

 

一方、「郊外店舗」は、主に車を使って来店する人が多くなります。そのため、一定の駐車スペースの確保が重要になります。賃料は駅前店舗と比べると安めで(平米単価)、大型もしくは面積が広めの物件が見つかりやすいでしょう。飲食店の場合、車での来店を考えると、酒類の提供には注意しなければいけません。法令の遵守をきちんと考えましょう。

 

駅前店舗は単独客が多いため、特に飲食店では席の組み方に工夫が必要です。郊外店舗の場合は、車での家族連れがターゲットとして想定されるので、同じく飲食店の場合は、ゆったりとした空間と座席が必要になるでしょう。

「階数」による違いと「インショップ型店舗」について

地下1階、1階、2階といった階数の違いを描いたイメージ図

同じテナント型店舗でも、どの階に店舗があるかによって、集客率の有利不利が変わってきます。

集客に最も有利とされるのが1階です。路上からもよく目につくため、「路面店舗」と呼ばれます。自然と目線に入ってくるため、どんな店かわかりやすいのも特徴です。

 

次に有利なのが2階、そして地下です。店舗位置が通行人の目線から外れるので、存在を認知されにくいというマイナス面があります。しかし、見方を変えれば、ガラス張りの店でも通行人と目線が合うことがないので、むしろ2階の方が眺めもよくて落ち着くというプラス面で捉えることができます。認知されにくいというマイナス部分は、看板などを利用して、店舗の雰囲気をアピールすることにより、集客率の向上を図ることができます。入りやすい雰囲気をつくり、なんとなく面白そうだと興味を持ってもらうことが重要です。

 

2階以上は「空中店舗」とも言われ、外から店内を見ることができません。集客率をアップさせるには、道路から見えるビルの入口部分やエレベーターホールに立て看板などを設置したり(飲食店ならメニューも効果的)、積極的にインターネットを活用した集客対策を行うのが有効です。また、エレベーターの利用が前提となるため、エレベーターの使いやすさが集客に大きな影響を与えます。利用者数に対して1基しかなく定員数も少なかったり、エレベーターホールが薄暗く清潔感がなかったりすると、待つことを嫌う人や安全面・衛生面に不安を感じた人は、店に来る前にそもそもエレベーターに乗るのをやめてしまうかもしれません。空中店舗の家賃は低めというメリットがある反面、集客対策をしっかり練らなければ、思った以上に人が来ないということをしっかり認識しておきましょう。

 

また、ショッピングモールなどの中に出店する店舗を「インショップ型店舗」と言います。インショップ型店舗の場合、最初から買い物などを目的としてショッピングモールに訪れる購買意欲の高い人から集客できるという点が、最大のメリットです。ただし、来客数が多い人気のショッピングモールは、やはり賃料が高めです。

 

インショップ型店舗の賃貸借契約の形態としては、固定賃料と歩合賃料、もしくは一定の売上金額を超えると何%か上乗せされるという、固定・歩合両方の性質を持った契約もあるようです。デメリットとしては、営業時間や休日をショッピングモールの規定に合わせなければならないこと、店頭の飾り付けや集客のためのチラシの配布や声がけなどが規制される場合があることが挙げられます。

 

また、季節ごとのショッピングモールのイベントやキャンペーン企画に伴って、割引商品の提供をはじめとした参加要請を求められることもありますが、イベント期間中は大幅な集客が見込めます。

「スケルトン物件」と「居抜き物件」の違い

内装・設備がない、コンクリート壁がむき出しの状態で貸し出す店舗のことを「スケルトン物件」と言います。反対に、前店舗の内装や設備一式が残っていて、すぐにでも開店できる状態で貸し出される物件を「居抜き物件」と言います。

 

スケルトン物件は、むき出しのコンクリートなどの状態になっているため、内装からすべて作り上げていかなくてはなりません。施工費、設備購入費がかなりの金額になり、開店まで時間もかかります。しかし、徹底的に内装にこだわりたいという人であれば、自分の思い通りの店づくりができます。

 

居抜き物件は、あらかじめ店舗設備が整っている状態で貸し出されるので、開店までの準備期間を短縮できます。一方で、前店舗の設備をそのまま引き継ぐので、自分が入れたい什器や内装にできないなど、店舗設計の自由度は低いです。前店舗のイメージを払拭し切れない可能性についても留意すべきです。ただ、開業資金を節約して、時間をかけずに出店したい人には向いています。

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