マンション投資で重要な「管理状況」とは

管理員とマンションのイラスト
「マンションは管理を買え」という言葉もありますが、マンションにおいて管理は物件の価値を左右する重要な要素になっています。投資物件を購入する際にも、管理状況は大事な確認事項になります。ここでは改めて管理費・修繕積立金とは何かといった基本的なことから、マンション管理の重要性を確認していきます。

「管理費」「修繕積立金」について

【管理費とは】

マンションを購入すると、毎月「管理費」の名目で定額徴収されます。この管理費の徴収元は、区分所有者によって組織された「マンション管理組合」です。分譲マンションでは、大抵管理業務は管理会社に外部委託されていますから、管理費の入金管理なども管理会社が行っていることが多いです。管理費の主な用途は以下の通りです。

 

・管理会社に支払う業務委託費

・管理組合の運営費

・共用部分の光熱費、その他維持費

・共用部分の保険料

・軽微な補修費

 

このようにマンションの区分所有者は、安全かつ快適に暮らす上で必要な費用を管理費として支出しています。ですから、管理費が相場と比較して著しく安い物件などは、管理が不十分である可能性があるので注意しましょう。

 

【修繕積立金とは】

修繕積立金とは、マンションの大規模な修繕実施に備えて積み立てている費用のことを言います。具体的には以下のときに修繕積立金が利用されます。

 

・一定の年数ごとに計画的に行う大規模修繕工事費(築後15年・20年など長期修繕計画に基づく)

・長期修繕計画に入っていない臨時的かつ金額規模が大きな改修費

・災害など不測の損害によって必要になる修繕費

 

不測の改修工事が積み重なったり、敷地内有料駐車場の空きにより見込んでいた管理組合の収入が大幅に減額したりすると、修繕積立金が足りなくなるケースがあります。そういった場合は、徴収金額の値上げや一時負担金の支払いが発生することもあります。ですから、マンションを購入する場合は、管理規約や長期修繕計画などを事前にチェックできると安心です。ただし、購入を検討している段階で、マンションにとってとても大切なそれらの情報を開示してくれるかどうかは、実際の問題としては難しいこともあります。まずは売買を仲介してくれる不動産会社に相談してみるといいでしょう。

「管理組合」について

管理組合理事会の会合の様子を表したイメージイラスト

マンションの管理組合は、マンションの区分所有者により組織された法人格を有する非営利団体です。マンションの維持・管理を目的とし、その運営は、「マンション管理規約」を作成し、それに則って行われます。マンションを購入すると、区分所有者は必ず組合員となります(「建物の区分所有等に関する法律」に規定)。ここで注意すべき点は、管理組合員はマンションの区分所有者であり、マンションに実際住んでいる入居者ではありません。あくまでもマンションの所有者のための組合になっています。

 

マンション管理組合の活動内容は以下になります。

 

・管理組合の運営

・管理規約の作成

・共用部分の範囲および管理費用の明確化

・管理組合の経理(管理費用等の徴収・収支会計の明確化)

・長期修繕計画の策定および見直しなど

・マンション管理業務における発注などの適正化

・組合総会の開催

 

これら活動内容を見れば、マンションの管理において管理組合が重要な役割を担っていることがわかります。つまり、管理状況が良好で、マンションの資産維持につながっているかは、管理組合の活動次第だということです。投資対象としてマンションを購入する際には、管理組合が適正に機能しているかは、ぜひ知りたい情報の一つです。しかし、前述したように、購入前に諸々の重要書面などを入手できるかどうかはわかりません。ただし、売主は早く売りたいと考えるのが普通ですから、仲介会社を通じて入手可否を確認してみましょう。

実際の物件管理のチェックについて

もしも要望通りに管理規約や長期修繕計画書を閲覧できたとしても、その内容が適正なのか、細部まできちんと作られているのかなどはなかなか読み取れるものではありません。その場合は、改正・改訂日付が記されているかを確認しましょう。新築から年数が経つにつれて、実運営と食い違いが生じることや資金面などの見直しが必要になることは、大抵のマンションで起こります。それがきちんと検討され、修正しているかを見るために、改正などの履歴を確認するわけです。

 

あとは実際に現地を目で見て確認するのが、最も確かな方法です。共用部分に限られますが、以下に購入前にもチェックできる、管理状況を見るポイントを挙げます。

 

【ごみ置き場】

ごみ置き場の管理がしっかりとなされていない場合、収集日にごみが散乱し、ネコやカラスが寄って来たり、「悪臭」が発生したりします。これは居住先としてはかなり印象を悪くするので、借り手が付きにくい原因になります。特にワンルームタイプのマンションでは、居住ルールがまだ身についていない若い単身者の入居が多いことが想定されますので、気をつけて見るといいでしょう。

 

【駐車場・駐輪場】

駐車場や駐輪場については、管理状況に加えて空き状況の確認が重要になります。契約が満車だと入居者募集時に「駐車場空きなし」で出さなくてはならず、借り手が付きにくくなります。反対に空きが多すぎると、管理組合の収入が不足する事態に陥る可能性があります。

 

【エントランス・廊下】

エントランスや廊下のチェックも大事です。しっかりと清掃が行き届いているのか、個人の所有物(ごみや住戸内に入りきらない物など)が廊下にあふれていないかなどを見ます。日常的に人が行き来する共用部分の清掃が行き届いていなかったり、個人の物が占有していたりという状態は、管理会社の業務がずさんであることや管理組合(理事会)がルール遵守の面で機能していない可能性があります。

 

【掲示板】

掲示板に古い掲示物が残っている場合、物件の管理が行き届いていないと判断する材料になります。

 

【管理人の対応】

管理人に、自分の立場と訪問の意図をきちんと話し、尋ねたいことがあれば直接聞いてみましょう。対応の様子はかなり参考になると思います。その際は、訪問するこちら側が礼儀正しく誠実な姿勢で臨む必要があるでしょう。

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