返済で失敗しない適正な住宅ローンの組み方

住宅ローンのイメージ
一生で一番高額な買い物になるとも言われるマイホーム。マイホームの購入ではほとんどの人が住宅ローンの融資を受けるでしょう。数千万円以上にもなる買い物ですから、その返済計画は綿密に立てなくてはいけません。しかし、つい気分が高揚し、無謀な返済計画を立ててしまうことも起こり得ます。そこで住宅ローン返済の失敗例から、住宅ローンを計画通りに返済していくためにはどうしたらいいかを探ってみましょう。

住宅ローン返済における失敗例とは

住宅ローンを組んだものの、残念ながら毎月の返済ができなくなってしまう人もいます。まずはその失敗例を見ていきましょう。

 

【失敗例1 短期間で返済しようと毎月の返済額を増やしてしまった】

住宅ローンの融資を受けるときは、返済期間を設定します。返済期間を短くすれば支払う金利の総額が少なくなるため、35年よりも30年、30年よりも25年とできるだけ短い年数で完済しようと考える人は多いです。その考えは決して間違っていません。しかし、返済期間を短くすれば、毎月の返済額が増えます。結果、毎月の返済額が増えすぎたことにより、月収の中ではやりくりができずに返済し切れなくなってしまうケースが出てくるのです。

 

【失敗例2 ボーナス返済を利用していたが、業績悪化でボーナスが出なかった】

住宅ローン返済のオプションで、ボーナス払いの設定も可能です。毎月の給料からの返済だけではなく、夏冬のボーナスから返済をすることで、返済期間を短くでき、月々の返済額も抑えられまれます。しかし、ボーナスというのは必ず出るものではなく、会社の業績次第で出ないことも起こり得ます。実際にボーナスでの返済を見込んでいたのに、急に会社の業績が悪化し、ボーナスの支給がなくなってしまったという事例は少なくありません。結果的に、ボーナス返済月に返済資金をかき集めることになり、資金計画に大幅な変更が生じてしまいます。

 

【失敗例3 夫婦の合算収入でローンを組んだが妻の収入がなくなった】

住宅ローンを組む際、夫と妻の収入を合わせて「収入合算」にすれば融資額を増やせます。しかし、子供が生まれて妻が休職・退職しなければならなくなったなどの事態は、起こらないわけではありません。その場合、夫の収入だけで返済を続けることは困難になってしまいます。もしも妻が一定期間働けずに収入が減ったとしても、何とかやり繰りできる返済額を設定しておく必要があるでしょう。

「繰上げ返済」の利用で回避する方法

住宅ローンの返済を計算するイメージ

上記の失敗例を踏まえて、返済が滞るような事態を未然に防ぐための方法を見ていきましょう。

 

まず、住宅ローンの返済期間を長くすることで毎月の負担額が抑えられます。しかし、返済期間を長くすると金利支払い分が増えるので、返済総額がより高額になるというデメリットがあります。そこで「繰上げ返済」を積極的に利用するという方法に注目しましょう。

 

「繰上げ返済」とは、あらかじめ取り決めた毎月あるいはボーナス返済とは別に、借入者の任意のタイミングで追加的に返済できる制度です。毎月の返済額を低めに設定しておいて、家計に余裕を持たせ、その分貯蓄に励みます。例えば、一定期間返済用にためた金額を都合がいい時期にまとめて返済できるわけです。その効果として、繰上げ返済は直接融資の元本部分に充当されるので、返済期間の短縮や毎月返済額の減少を行えます。もちろん支出がかさみ、繰上げ返済が難しいときは無理に行う必要はありません。家計の状態に合わせて臨機応変に返済することが可能です。

 

住宅ローンの返済期間を最長の35年に設定しておいて、予測不能な将来に備えつつ、貯蓄に励んだ分だけ繰上げ返済で負担を減らしていくというのは、無理な返済設定で滞納を引き起こさないための一つの回避方法でしょう。

新規購入の場合は必ず現家賃との比較を

特に賃貸居住から初めて持ち家を購入する場合に、無理のない返済計画を立てるポイントとして、住宅ローンの返済額が現在の家賃と比べてどの程度変わるかをきちんと見る必要があります。

 

月々10万円の家賃を支払っている人を例に挙げてみましょう。

 

〈3,000万円の住宅を購入した場合〉

・借入金額:3,000万円

・返済期間:35年

・ボーナス払い:なし

・金利:固定1.5%

・月々の返済額:91,855円

 

上記の試算では、月々の返済額は現在の家賃である10万円以下に抑えられます。つまり、住宅ローンの返済リスクも低いと言えます。

 

賃貸住宅で生活している場合は、月々の家賃の支払いとは別に将来の住宅購入に備えた貯金を行っている人も多いはずです。住宅購入後は、その貯金分が減るため、住宅にかける毎月の支出がむしろ減る可能性が高くなります。住宅を購入した後には、税金や修繕費などの支出はありますが、きちんと見込んで計画を立てることで、予算オーバーは回避できるでしょう。

 

このように、現家賃を基準に返済月額を考えることで、自ずと借入金額の上限がわかりますから、自分の返済能力を超えた高額物件に手を出してしまうようなことも防げるでしょう。ローンの借入れに際しては、返済額をややゆとりのあるところで調整することをおすすめします。その上で、繰上げ返済などを加えて、ローン滞納によりせっかく購入した我が家を手放すというリスクを避けながら、できるだけ返済負担を減らす方法を探っていきましょう。

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