購入前に知っておきたい住まいの「階段」

仲良く階段を下りる兄と妹
2階建て以上の複層構造の住宅では、「階段」は欠かせないものです。かつては、玄関脇や廊下の奥などにあるのが普通でしたが、今では種類のバリエーションが増え、設置場所も自由にプランニングができるようになっています。デザイン性にもこだわれば、建てる人の個性が表現されたすてきな住まいづくりができるでしょう。

階段の種類と特徴

階段は、その形状によりいくつかの種類に分けられます。

 

【直階段】

昔から、多くの住宅で取り入れられていたのが「直階段」というタイプ。曲がりがない直線で、真っすぐに上り下りします。設置するのにスペースをあまりとらず、見た目もシンプル。狭小住宅や費用を抑えたいときに注目される階段です。ただ、限られたスペース上に設計することで勾配がきつくなると危険なので、注意しなければなりません。

 

【折り返し階段】

途中部分でスペースを設けることで、階段が反対方向に区切られているタイプです。折り返し部分の「踊り場」を境目に、180度向きを変えて上り下りします。万が一上から落ちても途中でストップできるというメリットがありますが、設置するにはスペース的な余裕が必要です。

 

【かね折れ階段】

折り返し階段と同様に、途中で踊り場があるのが特徴です。ただし、形がL字形という点で、U字形の折り返し階段とは異なります。このタイプも、落下事故をある程度防ぐことができるメリットがありますが、面積的に設置が厳しいケースもあるでしょう。

 

【らせん階段】

中心にある柱の周りをぐるぐると回転しながら上り下りする形状が特徴的ならせん階段。デザイン性を表現しやすいので、室内をおしゃれな雰囲気にする設計との相性がいいです。上から見ると円筒状をしており、スペースが狭くても設置できるのもメリットです。ただ、大抵は踏み板が三角形になるので、足元が不安定になる可能性があります。子供や高齢者のいる家庭では、慎重に考えた方がいいかもしれません。

多様な階段デザインとそれぞれのメリットなど

階段のイメージイラスト

今や階段には、デザイン性に富んだものがたくさんあります。

例えば踏み板の下に隙間がある「オープン階段」。階段の向こう側が見えるため、室内が明るく、空間を広く感じることができます。風が通る構造なので、空気がこもらず湿気対策にも効果があります。ただ注意したいのは、上り下りのときに足を踏み外す危険があること。特に体の小さい子供にはリスクが高いかもしれません。安全対策をしっかりとるか、あるいはオープンなデザインは避けた方がいいでしょう。

 

また、昔からなじみがあって、現在でも多く見られるのが「箱型階段」と言われるデザイン。踏み板と踏み込み板で、文字通り箱のように組まれた階段です。安定感があるので上り下りしやすいのが特徴です。もう一つ大きなメリットとして、階段の下部分をトイレや収納に活用できるということが挙げられます。スペースの有効利用をしたい人にはおすすめのデザインです。また、収納部分を工夫すれば、おしゃれな雰囲気を作り出すことができます。

 

素材によって、デザインはもちろん、部屋の雰囲気は大きく変わってきます。

例えば、オープン階段で、踏み板とそれ以外の部分にも木を使った場合、あたたかみがあり自然なやわらかさが生まれます。一方、金属製にしたならば、ナチュラル感は出ませんが、スタイリッシュな雰囲気になるので、室内インテリアをいろいろ楽しめそうです。

 

単に「階段」といっても、住む人の個性を十分に表現できる重要な部分と言えそうです。

機能面以外で考える階段の設置場所

次に設置する位置を見ていきましょう。昔は、玄関脇や廊下などに設置されることが多かったということはすでに書きました。これは、単に上り下りするという機能面だけを考えて形にした結果でしょう。ところが、今や階段の設置場所についても、さまざまな視点で考えるようになっています。その代表的な例が、リビングに設置される「リビング階段」です。外出する、帰宅する、友達が遊びに来るなど、階段を通るたびにリビングを通過しなければなりません。

 

思春期の子供にありがちな「帰宅してすぐに自分の部屋に」というパターンでも、帰宅したかどうかがわかりやすくて安心です。「ただいま」「おかえり」など、お互いに声をかけ合うことで家族の存在を意識し合うことができるでしょう。「知らないうちに出掛けていた」という状況も防げて、家族とのコミュニケーションがとりやすくなるのが魅力です。

 

また、吹き抜けを一緒に作ればリビング上部が広がり、開放感のある空間づくりができます。しかし、この場合は注意点もあります。リビングの音が上に伝わりやすいため、「リビングのテレビの音が響く」と2階にいる人の不満が増えることもあるでしょう。また、空間が広がれば、部屋の温度調節により負荷がかかります。冷暖房の効き具合には、多くの電力を使うことになるので、心に留めておきましょう。

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